もうかなり前の学生の頃、数ヶ月間のアルバイトだったが、初めて印刷関係の仕事をした。そこは鉛の活字を並べて活版印刷用のゲラを作る会社だった。活字を並べて木枠の中に束ね、印刷される紙面と同じようにページを組み、版の元になるゲラを作るというのが主な内容で、アルバイトがやるのは、出来上がったゲラをゲラ刷り機にかけて校正紙を刷る仕事だった。
活字を並べるといっても、外字や欧文のようなものは1本1本手で拾っていくということもあったが、普通に使われるような活字はキャスターという自動鋳植機で作られ、鋳造しながら文字が並べられていくというものだった。
まず、和文タイプのようなものだったと思うが、そうやって文字を選んでいくと紙テープに穴が開けられ記録されていき、その紙テープをキャスターにかける。キャスターには鋳型となる文字がいっぱい並んだ大きな文字盤が付いており、これが紙テープに記録された順番に前後左右に動き、下の方の溶けた鉛から作られる1本1本の小さな鉛棒に、バン!バン!という大きな音で圧着し、活字を打ち出していく。この大きな文字盤の動きと打ちつける大きな音はなかなかの大迫力で、溶けた鉛の熱気でかなり暑く、キャスターのある部屋は異様な雰囲気だった。ここで1〜2回仕事を手伝わされた時は、かなり必死な思いだったことを思い出す。
とにかく、こうやって文章通りに並んだ活字が、版を組み立てる人のほうに運ばれ、そこで字間や行間に板などが挟まれて調整され、活版の図や写真が配置されてページとなって束ねられていく。
今考えてみると、かなりの重労働で手間のかかる仕事だった。健康にも悪い。アルバイトだったからよかったが、自分にはとても続けられないと思った。ゲラ刷りの時、きれいに組み立てられたゲラを壊してしまったこともある。作り直しになってしまい申し訳なかった。